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こんな時どうする?Q&A

監修者:京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学 山下 浩平先生

HAEと上手に付き合う

HAEの治療


HAEと上手に付き合う

Q.1これから発作が起こるという徴候はありますか?
多くの場合は正しい予測はできませんが、発作の予兆を感じることもあります。一般的な症状には、倦怠感、チクチク感、ヒリヒリ感、吐き気、お腹がゴロゴロする、便通の変化、インフルエンザのような感覚、または輪状紅斑が皮膚に赤く出ることなどがあります。嗄れた声、ヒューヒューまたはゼーゼー鳴る呼吸音、咳、息切れなどがある場合は、窒息につながる喉頭発作のサインです。このような症状では救急治療を受けなければなりませんので、息苦しい場合はためらわずに救急車で受診して下さい。
Q.2発作の頻度は人によりますか?

発作の頻度は一定することはなく、一週間に数回集中的に起こることもあれば、発作の間隔が数年から数十年空くこともあります。

また、女性の場合は生理の頃にお腹の腫れを繰り返すこともあります。

発作のきっかけは精神的ストレス、外傷や抜歯、過労などの肉体的ストレス、妊娠、生理、薬物などですが、なんのきっかけもなく出現することもあります。

Q.3仕事や運動は続けられますか?また特別な食事は必要ですか?

ストレスはHAEの症状を重くしたり、発作の頻度を増やす可能性があります。もし頻繁に発作があるのなら、主治医と相談する必要があります。発作と上手く付き合うためには、発作の徴候や、場所、時間を記録しておくことは主治医にとっても役立ちます。

食事や運動、生活様式を変えることで、HAEの発作頻度に影響を与えるというエビデンスは今のところありません。

Q.4発作の原因になる薬はありますか?
降圧薬のなかでもACE阻害薬、ほかにはエストロゲン含有の経口避妊薬やホルモン療法には十分注意して下さい。HAE発作の頻度を高めたり、発作を起こしやすくなったりすることがあります。このため、医師は通常、高血圧に対して他の種類の薬を処方します。
Q.5発作を予防することはできますか?

まずは患者さん、そのご家族が発作の原因となる要素を把握することが大切です。

  • 心理的ストレス
  • 身体的ストレス (例:怪我、外科手術、出産、歯科治療)
  • 生理学的ストレス(例:ウィルスまたは細菌感染、胃潰瘍の原因となるピロリ菌も含む)
  • 高血圧治療のためのACE阻害剤などの薬剤、経口避妊薬

これらはできる限り避けてください。
予防するための薬については、医師に相談しながら治療をすすめて下さい。

Q.6海外旅行にはどのような準備が必要ですか?
それぞれの国ではHAE治療に使える薬の規制があります。渡航先における万一の発作に備えて、治療薬の入手方法を理解しておくことはとても大事です。HAEJ患者会に相談することも出来ます(info@haej.org)。日本人が渡航したり外国人が来日する場合に相談できる窓口です。また、主治医に作成してもらい診断書を持参するのも良い方法です。診断書を現地の言語や英語に翻訳する必要があるかもしれません。主治医に余裕をもってご相談ください。
Q.7国内旅行や出張で発作が起きたらどうすればよいですか?
あらかじめ旅程を主治医に伝えておけば、現地で対応できる病院へ紹介受診することが可能です。または、HAEJ患者会の窓口に相談すれば紹介することが可能です(info@haej.org)。
Q.8抜歯をしたいのですが、どうしたらよいですか?
主治医と歯科医に相談して下さい。処置によって発作が起きるリスクを考えた治療計画が必要になります。今までに口腔内の処置で腫れたことがある場合には、主治医に伝えることが大事です。
Q.9日常生活を送るうえで注意することは?
いつもと変わらない生活を送るためにも、何か特別な出来事(環境の変化、普段にないストレス)がある場合は発作がおきるかもしれないことを家族、友人、学校や会社に知らせておくことで安心した生活が送れます。なにか他の理由で医療機関を受診する際には、HAEであることを伝える必要があります。抜歯をするとき、手術が必要なときは適切な対応が必要です。

HAEの治療

Q.10HAEはどのように治療しますか?

HAEの急性発作がある時の治療と、発作の頻度を抑えるための予防的治療とに分けられます。

望ましい治療はC1インヒビター補充療法ですが、もしこの薬が入手困難な場合はトラネキサム酸を選択する場合もあります。

Q.11HAEの発作時はどうすればよいのでしょう?

救急外来をどのタイミングで受診すべきかの判断に迷うことがあるかもしれません。発作が現れたら、速やかに治療することが大切です。放置すると生命にかかわることがあります。特に息苦しい場合はすぐに救急車を利用し携帯カードを提示することで、速やかなC1インヒビター補充療法や、必要な場合には気管挿管や気管切開などの処置が行われます。

治療方針を書いた緊急時連絡カードを常に携帯し、診療できる病院を知っておきましょう。

のど近くの発作は速やかな救急治療が必要ですし、激痛を伴うお腹の発作では迷わずに救急治療を受けるべきでしょう。

Q.12HAEの発作が苦しい時はどうすればよいのでしょう?

以下の症状があったら、救急で診療できる医療機関に連絡してください。

  • かすれた声。
  • 息をする時、ヒューヒューまたはゼーゼー音がする。
  • 息切れ。
  • 舌が腫れ上がる。
  • 唇または顔が腫れる。
  • 首が腫れる。
  • のどが腫れる。

これらの症状は、生命にかかわる可能性のある発作のサインです。 状況に応じて救急車を呼び、到着までに気道の確保をします。 仰向けの姿勢が取れないこともあるため、座った姿勢にするなど、注意が必要です。

  1. 呼吸しやすい姿勢
    (1) 枕などを抱えて机にうつぶせになる。
    (2) ひざ下にクッションを入れてひざを曲げ、体を斜め45度に起こす。
  2. 呼吸しやすくするために
    背中を前に押すように、呼吸のタイミングと合わせてさする。
    留意点:
    一般的な対処方法を掲載しておりますが、医学的助言を意図するものではありません。まずは、主治医にご相談ください。
Q.13治療の期間はどのくらいになりますか?

症状の頻度や場所を日記などに記録することで、担当医師と治療の方針を立てるための目安になります。発作が続く時間が2-3日におよぶのを抑えるためには、抗プラスミン剤(トラネキサム酸)やC1インヒビター補充療法が有効と考えられています。
特に、腹部の痛みが激しい場合や、呼吸が苦しい場合はC1インヒビターの補充療法により速やかな発作の軽減を行います。患者さんご自身に合わせた治療法の選択、発作の頻度を軽減する薬剤の選択が必要です。

Q.14治療による副作用は? また、それはどうやって管理したらいいのですか?

治療の副作用は治療薬やその量などの治療方法によっても左右されます。またその処置が急性発作のためなのか、発作予防のためなのかで変わってきます。C1インヒビター製剤を投与された方、またはC1インヒビターによる治療を受けた方で次のような症状に気づいたら、主治医や薬剤師、看護師に申し出て下さい。

  • 息苦しさ、顔面そう白、冷汗、ふらつき、意識の低下、皮膚のかゆみ、どうき、息切れ ※必要に応じて救急車などを利用して直ちに受診して下さい。
  • 皮膚の吹き出物、熱っぽい、皮膚の一部が赤くなる
Q.15医療費の補助は受けられますか?指定難病ですか?

HAEは国が定めている指定難病ですので、医療費助成制度の対象疾患です。多くのHAE患者は医療費助成を受けています。所得に応じた金額の医療費助成を受けることができますが、まずはお住まいの自治体に申請をする必要があります。申請方法や助成金額など詳しくは、医療費助成制度をうけるためにのページをご参照ください。